Web Director’s Talk | ノーコードなら安心?Webサービスを選ぶとき「便利さ」以外にも考えたいこと

こんにちは。ドットワンWebディレクターの舘野です。

最近、ノーコードやAIを使ったWeb制作サービスが本当に増えてきました。

専門的なコードを書かなくてもホームページを作れたり、AIに「こんなものを作って」とお願いするだけで機能を追加できたり。

Web制作をしている私自身も、新しいサービスを見るたびに「ここまでできるようになったのか」と驚くことがあります。

そんな中、少し気になるニュースがありました。

ノーコードWeb制作サービス「Webflow」が、AIを使ってWebアプリを作れる「App Gen」という機能について、追加開発を停止し、廃止に向けたプロセスを進めることを案内しています。

ただ、これは「WebflowがAI機能をやめる」という話ではありません。

むしろ、AIを使ったWeb制作を別の方向へ進化させようとしています。

これを見て改めて思ったのが、

「Webサービスを選ぶとき、便利かどうかだけで決めていいのだろうか?」

ということです。

今回はWebflowそのものの良し悪しではなく、ホームページ制作にノーコードやクラウドサービスを使うときに、知っておきたいことを考えてみます。


Webflowの「App Gen」とは?

App Genは、AIに文章で指示することでWebアプリを作れるWebflowの機能です。

たとえば、

料金シミュレーター
店舗検索
予約ツール
ダッシュボード

といった、普通のホームページより少し複雑な機能をAIで生成できます。

作ったものはWebflow Cloudへ公開でき、自社サイトと組み合わせて利用できます。

「こんな機能が欲しい」とAIに伝えることで、Webアプリそのものを作ってもらえる。

かなり便利そうですよね。

ただWebflowは現在、このApp Genについて追加開発を停止しています。

そして9月11日に更新された公式ヘルプでは、今後「deprecating(廃止)」のプロセスを開始すると説明しています。


じゃあ、作ったものが突然使えなくなる?

ここは誤解しないようにしたいところです。

現時点で、

「○月○日にApp Genが完全終了します」

と発表されているわけではありません。

Webflowによると、現在公開されている既存のWebアプリは引き続きWebflow Cloud上で動作します。

App Gen自体も移行期間中は無料で利用でき、今後利用できる範囲などに変更がある場合には事前に案内するとしています。

そのため、

「Webflowで作ったものが全部使えなくなる」という話ではありません。

ここはかなり重要です。


なぜApp Genの開発を止めたの?

ここだけを見ると、

「AIでWebアプリを作る機能がなくなってしまうの?」

と思うかもしれません。

ただ、WebflowがAIを使ったWeb制作をやめるわけではありません。

今回の変化をかなり簡単にいうと、

「AIにWebアプリを丸ごと作ってもらう」

という方向から、

「今作っているホームページの中で使う機能を、AIに作ってもらう」

という方向へ変わってきています。

たとえば、会社のホームページに「料金シミュレーター」を追加したいとします。

これまでのApp Genでは、料金シミュレーターを一つのWebアプリとして作り、Webflow Cloud上で動かすような仕組みでした。

一方、Webflowが現在力を入れている「AI Code Components」では、

「このページに料金シミュレーターを作って」

とAIに指示すると、現在制作しているWebflowサイトの中で使える「部品」として生成できます。

ほかにも、

料金計算機
検索フィルター
店舗検索
診断コンテンツ

など、これまでコードを書いて作る必要があった機能をAIに作ってもらい、Webサイトの中で利用できます。

さらに9月2日には、AIが生成した部品をWebflowの画面上で直接編集できる機能も追加されています。

つまり、

App Gen
「AIでWebアプリそのものを作る」

から、

AI Code Components
「AIでホームページに必要な機能を作る」

という方向への変化です。

ただし、AI Code ComponentsがApp Genのすべてをそのまま置き換えるわけではありません。

App Genでは、データベースやバックエンド処理を含むWebアプリを生成できましたが、AI Code ComponentsはWebサイト内で利用する部品の生成が中心です。

WebflowはApp Genのベータ提供を通じて得たフィードバックをもとに、よりWebflowのサイト制作と一体化したAI機能へ開発の方向を変えたと考えると分かりやすいと思います。


今回の変更から考えたい「Webサービスを選ぶ」ということ

今回私が気になったのは、App Genそのものよりもこちらです。

ホームページを作る方法は、昔に比べてかなり増えました。

  • WordPress
  • Wix
  • Studio
  • Webflow
  • Framer

そして最近では、AIを使ったWeb制作サービスも次々登場しています。

どれも便利です。

ただ、こうした外部サービスを使う場合、

「そのサービスが今後も同じ形で提供され続けるとは限らない」

ということは頭に入れておいた方がいいと思います。

今回のWebflowのように、サービス自体は続いていても、

  • 機能の提供方針が変わる
  • 別の機能へ移行する
  • 料金体系が変わる
  • 仕様が変わる
  • 機能が統合・終了する

といったことがあります。

これはWebflowだけの話ではありません。

クラウド上のサービスを利用する以上、どのサービスでも起こる可能性があることです。

だからといって、クラウドサービスを使わない方がいいという話でもありません。

大切なのは、その特徴を理解したうえで選ぶことだと思います。


「ノーコードだからダメ」ではありません

ここも誤解してほしくないところです。

私自身、ノーコードサービスは便利だと思っています。

制作スピードが速くなったり、これまで専門知識が必要だったことを簡単にできたりするメリットがあります。

今回のWebflowも、App GenからAI Code Componentsへ方向転換しながら、AIを活用したWeb制作機能自体は積極的に強化しています。

むしろ今回の変更も、実際に利用したユーザーからのフィードバックをもとに、よりWebサイト制作で使いやすい方向へAI機能を進化させようとしている動きと見ることができます。

なので、

「ノーコードは危険だから使わない方がいい」

という話ではありません。

大切なのは、

「便利だから使う」

だけではなく、

「もし仕様が変わったらどうする?」

まで考えて選ぶことだと思います。


ホームページは何年使う?

ここがWeb制作では結構重要です。

ホームページは、作って半年で捨てるものではありません。

5年。

場合によっては10年近く使う会社もあります。

そう考えると、制作時点で便利かどうかだけではなく、

将来も運用できそうか。
データを移行できるのか。
サービスを変更するときどうなるのか。
制作会社以外でも管理できるのか。
料金が変わった場合どうするのか。

といったところまで考える必要があります。

特に会社のホームページは、会社情報や採用情報、お問い合わせ窓口などを担う大切なものです。

だからこそ、

「今、作れるか」だけではなく、「その後も使い続けられるか」まで考えて選ぶ。

私はこれが大事だと思っています。


AI時代だからこそ、サービス選びが難しくなる?

最近は新しいAIサービスがものすごいスピードで登場しています。

これはWeb制作でも同じです。

昨日までできなかったことが、今日にはできる。

一方で、数か月前に登場した機能が、ユーザーの反応を受けて別の仕組みに変わっていく。

今回のWebflowも、まさにその一例なのかもしれません。

新しいサービスを試すことは大切です。

私自身も新しいものはかなり気になりますし、良さそうなものは実際に使ってみたいと思っています。

ただ、お客様のホームページで使うとなると話は少し違います。

「面白いから使ってみよう」

だけではなく、

「この会社が数年間使うものとして大丈夫か」

まで考える。

  • 新しい機能があるか。
  • AIが使えるか。
  • 簡単に作れるか。

もちろん、そうした部分も大切です。

でも、それだけではなく、サービスの運営状況やデータの扱い、将来的な移行のしやすさなども含めて判断する。

これからWeb制作会社には、そんな判断もこれまで以上に求められるのではないかと思います。


ドットワンでも「作った後」まで考えて選びたい

今回のWebflowのニュースを見て、改めて感じたのは、

ホームページ制作では「何で作るか」も大切ですが、それ以上に「どう運用していくか」まで考える必要がある

ということです。

WordPressがいい場合もあります。

ノーコードサービスが合う場合もあります。

AIを積極的に使った方がいい場合もあると思います。

大切なのは、流行っているから選ぶのではなく、その会社に合っているかどうか。

そして、

「もし状況が変わったらどうする?」

まで考えておくこと。

Web制作のサービスは、これからもどんどん便利になっていくと思います。

今回のWebflowのように、利用者の声を受けて機能の方向性が変わったり、より便利な仕組みに置き換わったりすることも増えていくかもしれません。

だからこそ私たち制作会社も、新しいサービスをただ追いかけるだけではなく、

「今便利か」だけではなく、「お客様がこの先も安心して使っていけるか」

という視点を持って、ホームページの制作方法を選んでいきたいと思います。


参考・関連情報